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2007年06月20日

石川 九楊『漢字がつくった東アジア』

近頃はご存知のようにお休みの日もドラマを優先していて、おもしろい本があってもなかなか読み進めることができません^^

この本もまだ読みかけですが、とても刺激的でおもしろいです。



石川さんは書家であり、その実践と蘊蓄をもとに多くの著書をものされていますが、これは「巨視的な観点から歴史をとらえなおす、文字から見た精神の運動史2200年」と説明にあるように、漢字を中心とした東アジア文明史といった趣です。

今回は、そのなかでもベトナム(越南)に関する記述をとりあげたいと思います。

というのも、今月の3日にキム・アジュンさんとパク・チャヌク監督が、韓国ベトナム修交 15周年記念‘'2007ダイナミック・コリア・シネマフェスティバル’に出席して、とくに【美女はつらくて】がベトナムで封切られて、キム・アジュンさんは現地で熱烈な歓迎を受けた、という記事を読んだこともあります。

韓国とベトナムについては、映画【ラブストーリー】のDVDを観たときにふれてあったことくらいしか知りませんでしたが、今回この本を読むことで、両国ばかりでなく中国・日本との‘つながり’を、あらためて感じることができました。

p.180〜181
では、なぜ越南が海岸べりに細長く南方へ延びているのでしょう。じつは、漢字文明圏は、南シナ海、東シナ海、黄海、さらに北へ行けば日本海(東海)と、いってみれば極東の海沿いに広がる文明圏であるからです。

ある意味で異様ともいえる、細長いベルトのような越南の国のかたちを見ていると、越南は漢字・漢語・漢詩・漢文によってつくられた地方であり国であることが明確にわかってきます。越南という国が生まれたのは、インドシナ半島の東岸に民族的なまとまりをもつ人びとがいて越南というひとつの塊が自然発生的に存在したからではありません。そうではなく、大陸側から漢字・漢語の文化と文明が海沿いに南進することによって生まれた国家です。漢字文明を受容した南限が越南ということになります。



したがって、越南というのは、なにも越南族が昔からいたというようなことではなく、漢字文明によって文明・文化的につくられた、ひとつの地方であり国家だといえます。この点が越南の非常に興味深いところであり、民族と国家というものを考える上での示唆に富んでいます。

ここで類推的に考えられる問題は、文明が海の方から広がっていったことです。大きな河川の流域はもとより、山間部に文化がないわけではないのですが、水圧の高い新たな文明が海を経由して広がっていくことがあります。それゆえに、もともとはインドシナ半島の途中までしか広がっていなかった越南が、半島の最南端に向かって海岸沿いにその範囲を広げていきました。

再三繰り返しますが、道としていちばん交通しやすいのは砂漠の道と海の道であり、この二つの道が歴史のなかで果たした役割はじつに絶妙です。越南が南に延びていく姿を見ると、海の道を通って文明が伝わっていったことを示唆していて非常に興味深いのです。

‘海’から考えるという視点が、ここにもはっきりと見て取れます。
 
この記事へのコメント
先日書店に平積みされたこちらの本を眺めていて、石川九楊さんの新しい本が発売されたということを知りました。
…が、例によって?最初は手に取りめくってみた程度というお粗末なものでした。 

漢字については、書を通しての楽しみを分けてくださる石川さんですが、東アジアについて触れてくださっているというのも興味深いですね。

ベトナムという国のことはなかなか知る機会がありません。
こうして何かの形で関連付けがあると、それを端緒として楽しみが拡がります。
今まで漢字が東へと広がってきたことが今までの文化や交流の流れで自然なこととして捉えていたように思いますが、‘南限‘については巡らせたことがなく、頭の固さを思い知らされます。
漢字によって為された国というところに、不思議な感覚を持ちました。
こちらの本からの引用をありがとうございます。

【美女はつらくて】も、ベトナムで歓迎された様子が伝わり、今回の石川さんの一冊のお話から、ベトナムを身近に感じました。

海によって沢山の歴史が作られ、‘海‘が運ぶものは、その役割も自然も大きいものですね。
Posted by vita88 at 2007年06月21日 00:29
ベトナムについて私の知ることといえば、北側にある首都であるとか、南部に位置するメコン川、そして細長いそのかたち。
漠然とメコン川流域からの広がりによってのこの形との私の認識にちょっと待ったをありがとうございます。

民族と国家を考える上で文明・文化的なアプローチから見えてくるお話。映画【ラブストーリー】から映画【美女はつらくて】に至って、韓国とベトナムに関心をもたれ、それからあらためての中国・日本との‘つながり’を感じられたのも文化的な縁でしょうか。

細長いベルトの国・越南と書く国ベトナムを‘海’から考えるという視点...東アジアから教わる事はまだまだ多いようです。
Posted by saki at 2007年06月21日 02:41
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